従属クレームの設計
技術第3部長 太田友幸
■従属クレームの設計
前回のコラム「独立クレームの設計」では、構成要素を絞り込む重要性をお伝えしました。無駄のない独立クレームは強い特許の条件ですが、先行技術による拒絶や無効化のリスクも高まります。
そこで重要になるのが、権利化に向けた備え(バックアップ)となる「従属クレームの設計」です。唯一の正解はありませんが、私が重視する設計思想をご紹介します。
■「刻み方」のメリットとリスク
独立クレームと先行技術の差異が小さいと、進歩性の壁が高くなります。この壁を越えるため、構成を段階的に細かく刻んだ従属クレームを作成する手法があります。
この手法は、進歩性の境界線を探りやすく、競合への細かい牽制にもなるメリットがあります。一方、微小な構成を何層も重ねると、一つ一つが「通常の設計事項」と認定されやすくなることもあります。上位の請求項が否定されると、続く請求項も連鎖的に否定され、結果的に拒絶に至るリスクがあります。
■「まとまった構成」の配置
そこで提案したいのが、設計事項と認定されにくい「まとまった構成を有する従属クレーム」の意図的な配置です。
単に構成を継ぎ足すのではなく、組み合わせることで相乗効果を生み、さらに独立クレームの本質的な効果を増幅するような構成を適切な位置に配置します。この際、個々の構成を限定しすぎないよう注意し、必要に応じて下位概念を後続させます。これにより、連鎖的な拒絶に対する壁を設けることができます。
また、この従属クレームで進歩性が認められた後の対応も重要です。進歩性に大きく寄与したのが「一部の特定の構成」であると審査官の認定から判断できれば、補正の際、その構成のみを独立クレームに加える(他の不要な限定は外す)ことで、より広い権利化を図れる可能性もあります。
■終わりに
では、実務において常に「細かく刻まない」のが正解かといえば、そうではありません。進歩性の境界線を細かく探る場合や、競合の回避行動を細かくマークする際は、細かく刻む戦術が有効です。
重要なのは、発明の技術的性質やクライアントの希望に応じて、適切な手法を選択できることだと考えます。
本稿が、クレーム設計に取り組む際の一助となれば幸いです。